ご案内
食用塩安全衛生ガイドラインは国内で海水から生産する大規模製塩の安全性の確立、品質の向上を目的として定められたものです。食品に対する安全性の保証、原材料のトレーサビリティが重要視される中で、ユーザーの要望にできるたけお応えするために、製塩メーカーが一致協力して食用塩安全衛生ガイドラインを実のあるものにするよう日夜努力しております。
 日本国内で生産される塩は、現在世界最高の品質、安全性を誇っておりますが、これを将来とも確たるものとし、さらにレベルの向上に努め、消費者に安心していただく製品を供給することをお約束します。認定工場マークは世界で最高の塩の象徴です。
 今回の修正は、農薬に関するポジティブリスト制の導入に対応すること、HACCPによる衛生管理システムの考え方を導入したこと、による改正です。
平成12年9月10日制定
平成18年4月1日改定
社団法人日本塩工業会
1.ガイドライン設定の目的
塩はすべての人が必ず摂取しなければならない食品で、かつ代替性のないものであり、その食品衛生上の管理はきわめて重要であることから、社団法人日本塩工業会(以下「塩工業会」という)は、「食用塩の安全衛生ガイドライン」を定めることとした。会員企業はこの必須の食品を安全かつ安定して供給する責任があることを深く認識して、これを遵守することとする。
2.安全衛生基準
総合衛生管理製造過程(HACCP)とISO22000の考え方を取り入れ、食品衛生法の趣旨、原則に基づき、食用塩の原料採取、製造、貯蔵および運搬は、清潔かつ衛生的に行われなげればならない。下記に示す基準の他、異物については適切な対策により混入を防止することとし、また、残留農薬等と包装については食品衛生法に準拠することとする。
項 目 内 容 方 法
不溶解分
溶状
重金属
ヒ素
水銀
カドミウム


フェロシアン化物
一般生菌数
大腸菌群数
0.01%未満
無色透明
10mg/kg以下
0.2mg/kg以下
0.05mg/kg以下
0.2mg/kg以下
1mg/kg以下
1mg/kg以下
検出せず
300ケ/g以下
陰性
溶解後重量法
溶解液の吸光度
硫化ナトリウム比濁法
ICP
ICP
ICP
ICP
ICP
吸光光度法
平板計数法
ブイヨン培地定性
3.表示基準
食品衛生法、健康増進法、景品表示法及びJAS法に準拠し、次の項目を記載する。
名称、原材料名、製造者名、製造者の所在地、内容量、製造年月日添加物がある場合はその添加物の種類と添加量
4.検査方法
1) 安全衛生管理体制、原材料の管理体制、生産工程の管理及び製品の管理に関する検査については、別に定める実施要領による。
2) 製品検査については、不溶解分、重金属、ヒ素、水銀、カドミウム、鉛、銅及びフェロシアン化物は塩試験方法(財団法人塩事業センター)、一般生菌数と大腸菌群数は食品衛生検査指針(社団法人日本食品衛生協会)による。また、残留農薬等、溶状及び異物は別に定める実施要領による。
5.安全衛生基準認定マーク
塩工業会は上記検査方法に基づき、年一回以上、安全衛生管理体制、原材料の管理体制、生産工程の管理及び製品の管理に関する検査並びに製品検査を行い、別に定める実施要領による審査に合格した会員企業は、商品あるいは商品の案内などに安全衛生基準認定マーク(右図)をつけることができる。
なお、このマークは工場の安全管理が総括的に一定水準に達しているものを示すものであ り、個別の具体的製造過程から生じる製品責任は生産者にある。
食用塩の安全衛生基準解説
平成18年4月改訂
社団法人日本塩工業会
1.目的
 現在食品に対する安全性についての国民の関心は極めて高くなっています。他業種でのトラブルを他山の石として、製塩業界も塩に対する安全性確保に真剣に取り組んでいます。
塩は平成9年に塩専売法が廃止され塩事業法に移行しました。塩専売制の間は日本たばこ産業株式会社が全面的な指導監督を行ってきました。塩専売法廃止後は、塩事業法第一条に「良質な塩の安定的な供給の確保と我が国塩産業の健全な発展を図るために必要な措置を講ずることとし、もって国民生活の安定に資することを目的とする」ことがうたわれています。しかし良質な塩の安定的供給を裏付ける基準あるいは検査については、塩事業法には定められていません。現状は、専売制度の廃止に伴い、民間企業の自主的な品質管理によって生産、販売される仕組みとなり、「良質な塩の安定的な供給」の責務は、製塩会社の自主的な品質管理にゆだねられている状況です。
 日本塩工業会は、専売制度廃止を受けて、平成8年「塩の品質に関するガイドライン」を定め、膜濃縮方式の製塩企業7社を対象として安全性指標を作成し、定期的検査を行ってきました。しかし平成14年4月には塩事業法に定める経過期間も終了し、塩の供給ソースも多様化することを考慮し、国際規格(Codex食用塩規格)を導入して対応することを視野に入れなくてはならないことから、名称を改め「食用塩の安全衛生ガイドライン」とし、内容も国際規格を導入することにしました。
 また日本塩工業会は会員企業の工程の安全性検査および製品検査で「食用塩の安全衛生ガイドライン」に合格した工場に対して、安全衛生基準認定工場認定証を交付し、平成13年度から安全衛生基準認定工場マークを個々の製品包装袋につけることにより、ガイドラインに合格した工場の製品であることを消費者にご認識いただくことにしました。
 平成18年度の改訂では、食品衛生法に基づく総合衛生管理製造過程(HACCP)とISO22000の考え方を取り入れるとともに、食品衛生法第11条第3項の「食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度」への適合を明解にしました。
2.ガイドラインの適用範囲
 現在、「食用塩の安全衛生ガイドライン」の適用申請が出されているのは、日本塩工業会会員4社6工場です。この4社で国内生産塩の約90%をカバーしています。ただし、会員4社から財団法人塩事業センターに販売され、生活用塩として市場に出ている塩事業センターブランドの食塩は塩事業センターの管理下にありますから認定工場のマークがつけられていません。
 塩事業センターブランドの食塩については「食用塩の安全衛生ガイドライン」に加えて平成17年10月から塩事業センター制定の「製造基準」を運用しています。
3.安全衛生基準各項解説
1) 原則
 総合衛生管理製造過程(HACCP)とISO22000の考え方を取り入れ、食品衛生法第5条(清潔衛生の原則)、第6条(不衛生食品等の販売等の禁止)、11条第3項(残留農薬等のポジティブリスト制度)に関する内容に準拠して、原料採取、製造、貯蔵、および運搬は清潔かつ衛生的に行なわれなければならないことを記載しています。例えば、ゴミ処理場の副産塩、泥土を含む輸入塩など、塩の供給ソースが多様化している状況を考慮し、食品衛生法の内容を再確認したものです。
2) 異物
 異物については、適切な対策により混入を防止すること、となっており、具体的基準が示されていません。適切な対策については、検査基準の中に詳細に規定されています。異物は通常「異物なし」と規定することが多いのですが、現実に異物が全くない製品はありません。詳細に検査すればいかなる製品にも異物が存在します。「異物なし」という規定は厳密にいえば虚偽表示になりますし、場合によっては気休めの表示に過ぎないものになります。そのため、あえて「適切な対策により混入を防止すること」としています。
異物混入に対する要求は、対象とする製品によってレベルが変わります。塩の場合、一般的には、食品衛生に重大な影響を及ぼしかねない動植物性異物がもっとも重大であり、次いで土砂、空中の塵挨、錆などの鉱物性異物に注意を要します。石膏粒など海水起因の異物は食品衛生上ではさほど大きな問題になりません。従って、動植物性異物、鉱物性異物の混入防止に万全の体制をとっていることを検査で確認しています。例えば次のような検査項目が含まれます。
1) 異物の混入防止を目的とした、品質管理、衛生管理、設備管理に関するルールの作成。
2) 原料海水が精密にろ過されていることの確認。
3) 工程では腐食片の混入防止として高耐食材料の使用および腐食状況。
4) 最終工程での金属検知器等でのチェック。
5) 煮詰め(晶析)工程での完全な滅菌。
6) 塵挨等飛散異物の混入防止として開放部へのカバー設置の確認。
7) 鳥害、虫害の防止対策。
8) 包装作業場での頭髪ネット着用等の服装チェック。
3) 包装
 包装については食品衛生法に準拠することが記載されています。包装に関しては食品衛生法、関連法令、通達などで規制されていますから、これらに準拠していることを確認しますが、さらに、接着剤、印刷素材などまで、食品衛生上問題がないことを確認して使用することとしています。
4) 不溶解分および溶状
 不溶解分とは、50℃の温水に溶解した残渣をいいます。海水に由来する石膏分は常温では溶解速度が比較的遅いが水に溶けるので不溶解分には含みません。通常、国内製塩では、精密な海水ろ過が行われていること、高耐食性材料を用いた蒸発缶(煮詰め釜による加熱晶析、せんごう)で結晶化されていること、工程の衛生管理が十分に行われていることから、不溶解分は0.01%未満であり不溶性の異物が混入するおそれはほとんどありません。
 世界的に見ると、不溶解分として検出された例は、泥、砂、さび、海草、プランクトン、海洋生物の糞尿や分解生成物、陸上からの汚染物質、製造後の事故による混入物などがあります。
 溶状は、塩を水に溶かしたときの溶液の透明度です。通常は無色透明です。世界的に見ると、着色したり濁った溶液になる塩があります。溶状の悪化は、汚染海水に起因したり、塩田などで同伴するコロイド状またはそれに近い微粒不溶解分、例えば泥、油の懸濁、生物分解物などの懸濁、泥や植物などから抽出されたフミン酸や生物の腐食などによる着色性物質、製造後の事故による混入などがあります。
 国産塩でこのような事故はほとんどありませんが、もし不溶解分の増加や溶状の不良がある場合は衛生管理面での注意が必要になります。
5) 重金属、ヒ素、水銀、鉛、カドミウム、銅
 重金属は硫化ナトリウムによる黒変反応を利用する検定法で、食品、薬品などに古くから用いられている伝統的方法です。硫化水素で黒変する主な重金属は、鉛、水銀、銅です。この方法では、検出限界も10mg/kg程度ですから、現在の食品衛生上の要求からは不十分なものとなっていますが、未だ多くの薬品、食品の有害重金属の一般的検査方法として採用されていることから、継続することにしました。
 前回の改正において、有害元素としてFAO/WHOの食用塩に関するCodex委員会が定める国際規格の5元素を対象としました。国際規格では、ヒ素0.5mg/kg、水銀0.1mg/kg、カドミウム0.5mg/kg、鉛2mg/kg、銅2mg/kgとなっています。「食用塩の安全衛生ガイドライン」で定める安全衛生基準は、日本の安全衛生に関する関心の高さを考慮し、国際規格の約1/2としています。
日本で行われる膜濃縮と加熱晶析による製塩では、厳密なろ過、膜による有害重金属の選択的排除、蒸発缶への高耐食性材料の使用などで、有害重金属汚染が起こる可能性はほとんどないと考えられますが、使用する海水の厳密なろ過、製塩工程内での材料耐食性についても厳重に検査しています。
6) 添加物
 製品に添加物を加える場合は、食品衛生法に認可された、食品添加物を使用し、製品に表記しなくてはなりません。平成14年8月厚生労働省はフェロシアン化物[Fe(CN)6]4-を食品添加物として承認しました。しかし、慢性毒性、発がん性、遺伝への影響などの安全データが不備と考えられるため、また酸性で加熱すると有毒な青酸ガスが発生するなどの問題から食に対する安心感を確保するため添加は好ましくないと考えております。従って、食用塩の安全衛生基準の認定工場では固結防止剤としてフェロシアン化物を全く使用していません。
 なお、残存する苦汁分について表示する必要はありません。またミネラル添加など健康上の効果を期待する表示をする場合は、栄養改善法に定める表示基準に従って表示します。
7) 加工助剤
 表記すべき添加物は使用されていません。製品に残存せず表記の必要がない加工助剤については、各社の使用状況に差異がありますが、すべての加工助剤は食品添加物又は相当品が使用されており食品衛生上全く問題がないものと認められます。
8) 一般生菌数および大腸菌群数
 HACCP対応などで特に注目される項目です。一般に加熱晶析(せんごう)塩では少なく、特に膜濃縮をした塩では菌類の検出は皆無といってよいでしょう。加熱晶析をしない製塩では一般に細菌が多くなりますが、特に汚染した海水を使ったり、衛生状態の悪い地域での製塩では注意が必要です。
9) その他
[主成分及び物性]
塩化ナトリウム含有量(純分)、マグネシウム、カリウム、水分、粒径、結晶形状などは食品の安全に関わらない製品規格なので、本ガイドラインには定められていません。必要であれば製品規格をご覧下さい。

[有機臭化物(臭化メチル)]
海水の中には約65mg/kgの無機臭化物が含まれ、その一部が塩にも移行します。無機臭化物は塩とほぼ同様の生理作用があり無害の物質です。しかし小麦や大豆の残留農薬として臭化メチルの残存が問題となり、その簡易な分析方法として全臭素の分析で代行する例があるので、臭化メチルと無機臭化物が混同されて、有害物という誤解を生じたことがあります。塩には有害な有機臭化物の混入は考えられませんが、このような誤解を解く必要があって平成13年まで有機臭化物の項目を設けました。しかし多くの分析結果から有機臭化物は国産塩では含有しないことが立証されたので、この分析項目は実際には必要がないと判断され平成14年から検査項目から除外されました。
4.表示基準
 食品衛生法、健康増進法、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)などすべての表示に関する法律に準拠した表示を行います。現在検討が進められている食用塩公正取引協議会で定める公正競争規約についても、確定次第これに準拠する表示方法を遵守するとともに、確定前にも消費者にとって望ましいと考えられる表記基準を取り入れて改善を進める予定です。
 名称は「塩」「塩加工品」などと記載します。塩の具体的内容については、製造会社の判断で行ないますが、微粒塩、造粒塩、高純度塩など、具体的にお客様にわかりやすい表示となるように留意しています。
 日本塩工業会加盟会社が生産する塩はすべて海水が原料ですから、原材料名は海水と記載します。
 製造年月日の表示は記号で表示してよいこととしています。なお塩は農林水産省告示第513号(平成12年12月)により、品質の変動が極めて少ないものとして賞味期限を省略してよいこととなっています。そのため賞味期限(その製品として期待される総ての品質特性を十分保持しうると認められる期限)としては表示しません。塩自体は無期限に摂取可能ですが保存中に固結する場合があります。できるだけ早く使い切るようにご留意ください。
5.検査方法
 検査は、安全衛生管理体制、原材料の管理体制、生産工程の管理及び製品の管理に関する現地検査、製品の分析検査、検査結果の外部審査委員会による審査によって構成されています。現地検査の主要な項目を表に示していますが、この他工程全般について、詳細な検査が行われます。それぞれに評価基準の最低ラインが定められており、客観的評価が行なわれます。
現地検査の主要項目(実施要領に定めるチェック項目の概要)
安全衛生管理体制 生産工程の管理 製品の管理
食品安全衛生管理責任者の任命
従事者の衛生管理および教育活動
品質管理体制
基準類および作業手順書
(服装、入室基準、材料検査、廃棄物など)
検査体制
クレームへの対応および是正措置
海水の濁質管理
工程の密閉性
不良品処理の安全性確認
包装材料の安全性
装置材料の安全性、耐食性
金属検知機などの異物検出体制
防虫・防鼠対策
作業環境の整備
基準値への適合
食品衛生法基準の適合包装材料
表示の適正
添加物
原材料の管理体制
海水
包装資材
加工助剤
製品サンプルは財団法人塩事業センター海水総合研究所に送付されて分析されます。
分析項目は安全衛生基準に示される11項目です。それぞれの分析方法は以下の通りです。
塩試験方法(財団法人塩事業センター2002年)によるもの
不溶解分: 溶解ろ過後のろ過残渣の重量分析
重金属: 硫化ナトリウム溶液による黒変反応
ヒ素: ICP法
水銀: ICP法
カドミウム: ICP法
鉛: ICP法
銅: ICP法
フェロシアン化物: 鉄塩による青色の吸光光度分析

食品衛生検査指針(社団法人日本食品衛生協会、1990)によるもの
一般生菌数: 標準寒天培地による平板計数法
大腸菌群: 推定試験には乳糖ブイヨン培地、確定試験では大腸菌群検査用BGLB培地、大腸菌群分離用にはEMB寒天培地を使用する。

独自の試験法によるもの
溶状: 検塩20gを50℃温水に溶解して100mlとし、波長400nm、1cmセルで測定して吸光度0.03以下の場合無色透明とする。吸光度0.03以上では懸濁あるいは着色とする。
異物: 1kgの検塩から100gを2点縮分し、白紙上で肉眼により精査する。肉眼観察であり個人差を生ずるが、0.2mm径以上の異物は計数されなくてはならない。
残留農薬: 必要と判断した場合に財団法人塩事業センター海水総合研究所にて残留農薬分析を実施する。
6.検査の組織
 工場現地検査は社団法人日本塩工業会技術委員会の委嘱を受けた検査員が行ないます。検査結果は審査委員会に報告され、審査委員会に於いて厳重に審査し、合否を決定します。
 平成17年度の検査は社団法人日本塩工業会技術部長山本活也を主査として行われました。審査委員会は社団法人日本塩工業会 相沢英之会長の委嘱により次のメンバーで行なわれました。

池田 勉  :財団法人ソルトサイエンス研究財団専務理事
川喜多 哲哉:千葉工業大学非常勤講師
香西 みどり:お茶の水女子大学生活科学部生活環境学科教授
田島 真  :実践女子大学家政学部食物学科教授
柘植 秀樹 :慶應義塾大学理工学部応用化学科教授、
       (元)日本海水学会会長(委員長)
7.安全衛生基準認定マーク
 検査に合格した工場の製品には安全衛生基準認定工場マークがつけられます。なおマークは工場の安全性が一定の水準以上にあることを示すもので、個々の製品責任は各工場にあります。検査は1年1回必ず受けることが義務付けられ、2年間検査を受けなければ認定工場の資格がなくなります。
8.ポジティブリスト制度に対する食用塩の適合について
 食品衛生法第11条第3項の「食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度」(平成18年5月29日より施行)に対する(社)日本塩工業会加盟会社が生産する食用塩の適合について説明します。
ポジティブリスト制度はすべての食品が対象となっており、食用塩は食品に該当しますので制度の対象となります。
(社)日本塩工業会加盟会社は海水を原料として膜濃縮せんごう法で国内の食用塩消費量の約90%を生産しています。
 塩の生産工程で農薬は使用していませんが海水が農薬に汚染されたときに、海水から製造された塩に農薬が残留する懸念については、下記に述べる膜濃縮法の生産工程の原理と本「食用塩の安全衛生ガイドライン」に基づく管理を実施することにより農薬が塩に残留することはありません。
膜濃縮法の安全性について
 海水は二段階で精密濾過されて水道水基準の10倍清澄な海水となります。次に膜濃縮工程で海水の塩分は3%から20%まで濃縮されます。濃縮膜はプラスイオンとマイナスイオンを選択的に透過します。イオンの電荷を電気の力で引っ張ることによってイオンが膜を透過する原理なのでイオン化していない海洋汚染物質は透過しません。
加えて、濃縮膜は百万分の1mmの孔径なので大きな分子や汚染懸濁物質は透過しません。
これらのダブル効果で世界最高の安全性を確保しています。
次の加熱蒸発工程で塩が結晶として生成し、加熱により一般細菌は滅菌されます。
 原料海水については「人の健康保護に関する環境基準」(環境省)を満たしていることを確認しています。必要と判断した場合は食用塩の残留農薬分析を財団法人塩事業センター海水総合研究所で実施することとしています。

 上記の生産工程の原理と本「食用塩の安全衛生ガイドライン」に基づく管理を実施することにより(社)日本塩工業会加盟会社が生産する食用塩は食品衛生法のポジティブリスト制度に適合しています。
補足説明
1.ポジティブリスト制度とは
1) 残留農薬等のポジティブリスト制度とは?
基準が設定されていない農薬等が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する制度です。
2) 「一定量」とは?
人の健康を損なうおそれのない量として一定の量を定めて規制する考え方であり、一定量として0.01ppmが設定(一律基準と言う)されています。
「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量」であり、環境に由来するものなど、非意図的な汚染の可能性を考慮する必要があります。


一律基準設定の留意事項
1) JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門会議)等にADI(許容一日摂取量)が 0.03_/kg/day未満の農薬等基準を設けない農産物等があるものについては、個別に分析法を定め、「不検出」として管理します。
2) 地方公共団体等による監視指導に際して用いられる分析法の定量限界により、一律基準(0.01ppm)まで分析が困難と考えられるものについては、各分析法の定量限界に相当すると考えられる値をもって実質的に一律基準(0.01ppm)に取って代わる基準を定めます。

食品の成分に係る規格(残留基準)が定められている食品は暫定基準で規制され、 食品の成分に係る規格(残留基準)が定められていない食品(食用塩はこれに該当します)は一律基準で規制されます。

3) 規制の対象は?
1) 規制対象物質は農薬と動物用医薬と飼料添加物です。
2) 規制対象食品は加工食品を含む全ての食品です。
4) 規制の対象にならないものは?
オレイン酸塩(殺虫剤)、大豆レシチン(殺虫剤)など食品添加物として指定されているものや、重曹などの特定農薬です。
2.厚生労働省の食用塩に対する見解
1) 食塩は食品に該当するので対象となります。
2) 個別のサンプルの分析値より衛生管理システム検証の検査が重要です。従ってこの様な環境条件、システムでやっているとの説明が大事です。
3) 分析の義務はありません。
3.社団法人日本塩工業会加盟会社の生産所在地
加盟会社は(株)日本海水小名浜工場(福島県いわき市)、(株)日本海水赤穂工場(兵庫県赤穂市)、(株)日本海水讃岐工場(香川県坂出市)、ナイカイ塩業(株)本社工場(岡山県玉野市)、鳴門塩業(株)本社工場(徳島県鳴門市)、ダイヤソルト(株)崎戸工場(長崎県西海市)の4社6工場です。
海水は工場近辺海域から取水しています。
食用塩の安全衛生ガイドラインの認定工場一覧
 平成18年4月現在で食用塩の安全衛生ガイドラインの認定工場は次の6工場です。日本で海水から生産される塩の約99%はこの6工場で生産されています。
株式会社日本海水 小名浜工場
福島県いわき市小名浜字渚2-4
電話 0246-54-2161  FAX 0246-54-8384

株式会社日本海水 赤穂工場
兵庫県赤穂市加里屋字加藤974
電話 0791-43-5888  FAX 0791-42-4741

株式会社日本海水 讃岐工場
香川県坂出市大屋冨町1793-3
電話 0877-47-0111  FAX 0877-47-4067

ナイカイ塩業株式会社
岡山県玉野市胸上2721
電話 0863-41-1501  FAX 0863-41-1506

鳴門塩業株式会社
徳島県鳴門市撫養町黒崎字松島53
電話 088-686-2133  FAX 088-684-1091

ダイヤソルト株式会社 崎戸工場
長崎県西海市崎戸町蛎浦郷字上横浦1517-3
電話 0959-35-2345  FAX 0959-35-2748
なお、認定工場の塩を二次加工した商品、輸入塩及びその加工品は食用塩の安全衛生ガイドラインの対象となっていません。塩事業センターから生産の委託を受けた商品(食塩などの生活用塩)については認定工場マークはつきません。
認定工場で生産される塩の商品名
商品分類としては精選特級塩、精選特級塩(微粒)、特級塩、食塩、並塩、白塩(ワイド、中粒、大粒、造粒、など)があります。
会員企業主要商品リスト

◎精選特級塩(ユーザー仕様特注または99.7%以上)
さぬき塩精選特級塩 (株)日本海水讃岐工場
ダイヤソルト精選特級塩(A,B) ダイヤソルト(株)
ナクルF ナイカイ塩業(株)
ナクルN ナイカイ塩業(株)

◎精選特級塩微粒(ユーザー仕様特注、粒径0.2mm以下)
新精塩精選特級塩(S1,S2,S3) (株)日本海水小名浜工場
赤穂塩TF(1〜4) (株)日本海水赤穂工場
さぬき塩精選特級塩微粒 (株)日本海水讃岐工場
ナクルフォー(1〜5) ナイカイ塩業(株)
精選特級塩うず塩微粒 鳴門塩業(株)
ダイヤソルト精選特級塩微粒(A,B,D,E) ダイヤソルト(株)

◎特級塩(99.5%以上)
新精塩特級 (株)日本海水小名浜工場
赤穂塩R (株)日本海水赤穂工場
さぬき塩特級塩 (株)日本海水讃岐工場
ナクルM ナイカイ塩業(株)
特級塩うず塩 鳴門塩業(株)
ダイヤソルト特級塩(A,B) ダイヤソルト(株)

◎食塩(99%以上乾燥塩、平均粒径0.4mm)
食塩 (株)日本海水小名浜工場
赤穂塩食塩 (株)日本海水赤穂工場
さぬき塩食塩 (株)日本海水讃岐工場
ナイカイ食塩 ナイカイ塩業(株)
鳴門食塩 鳴門塩業(株)
ダイヤソルト食塩 ダイヤソルト(株)

◎並塩(95%以上湿塩、平均粒径0.4mm)
並塩 (株)日本海水小名浜工場
赤穂塩並塩 (株)日本海水赤穂工場
さぬき塩並塩 (株)日本海水讃岐工場
ナイカイ並塩 ナイカイ塩業(株)
鳴門並塩 鳴門塩業(株)
ダイヤソルト並塩 ダイヤソルト(株)

◎白塩(95%以上湿塩、並塩より粒径の大きい製品)
キングソルト
(KS-10、KS-5、SR-L、SR-H)
(株)日本海水小名浜工場
赤穂塩(M,W,L,LL) (株)日本海水赤穂工場
さぬき塩白塩
(ワイド、中粒、大粒)
(株)日本海水讃岐工場
ナクルフォーA,B ナイカイ塩業(株)
白塩うず塩(中粒、大粒) 鳴門塩業(株)
ダイヤソルト白塩
(大粒、中粒、ワイド)
ダイヤソルト(株)

◎造粒塩(加圧成形品)
ナクルフォー(0) ナイカイ塩業(株)
うず塩造粒 鳴門塩業(株)
さぬき塩白塩造粒(M) (株)日本海水讃岐工場
ダイヤソルト白塩造粒 (S,L) ダイヤソルト(株)
お知らせ
日本塩工業会会員会社の塩にはフェロシアン化物を添加しません
この度、塩の固結防止剤として外国で使用されているフェロシアン化物の食品添加物としての使用がが平成14年8月1日から認められました。社団法人日本塩工業会では食品の安全衛生のために慎重な審議を進めるよう、厚生労働省に強く求めていたところですが、外国の圧力に簡単に屈服した形で1ヶ月弱の短期間の検討期間で承認の運びになりました。
フェロシアン塩については、慢性毒性、発がん性、遺伝への影響に関するデータがほとんどないという理由で厚生省は承認を拒否してきたもので、その状態は全く変わっていません。海外での消費者の反対運動もあり、食用への使用は減っていると伝えられているにもかかわらず日本での承認を認めることになってしまいました。
日本塩工業会では消費者に安全と安心を約束するため、今後もフェロシアン塩を添加しないこと、更に食の安全性に関する活動を充実させていくことを確認しており、その決意を新聞(日経、産経、朝日)に広告として掲載しました。今後とも皆様のご理解とご支援をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。なお日本塩工業会会員会社の塩は、食塩、特級塩、精選特級塩、並塩、白塩などの塩種があり、20kg袋、25kg袋には認定工場マークがついています。
 フェロシアン化物については、「塩の情報室」に詳細が説明してあります。
質問への回答
Q 1. フェロシアン化物の入っていない塩はどの塩ですか
2. 食用塩安全衛生基準認定工場マークは小売店頭の塩にはついていません。どの塩が認定工場の製品ですか。
3. 国産塩はどの塩ですか、どこを見ればよいのですか
現在市販されている塩は、フェロシアンは添加されていませんから安心してください。今後の塩については食用塩安全衛生基準認定工場の製品はフェロシアンなどの人工的添加物は加えないことを確認しています。
現在の認定工場5社の塩は、家庭用小物では塩事業センターから発売している1kg、5kgの食塩、業務用の20kg、25kg、フレコンなどの食塩、特級塩、精選特級塩、微粒塩、並塩、白塩と分類されている塩に相当します。日本で海水から生産している塩は99%はこれらの塩になります。
スーパー、百貨店など小売店の棚の塩は国産とかフェロシアン無添加などの表記はありませんし、認定工場のマークもありません。認定工場は大口業務用の塩を生産しており、小袋、およびそれに添加物を加えた小袋製品の販売や加工はメーカー直販ではなく塩事業センターや別会社で行なっているため、小袋にはマークがついていないのです。
国産塩については、日本で製造または加工された塩というのが法律上正しい定義だと思いますが、私どもは便宜的に日本沿岸の海水を原料として日本で生産された塩を「純国産塩」、輸入塩を日本国内で加工した塩は「加工塩」といっています。日本塩工業会では「安全・安心・国産塩」をキャッチフレーズとして食品衛生の推進活動を進めていますが、これは純国産塩のことを言っているつもりです。加工塩が悪い塩というわけではありませんが、安全が監視できる目の届くところの塩を大切にしよう、日本で食べる塩は日本で作ろう、という考え方が基本になっています。
なお、原料、生産場所、製塩方法などについて表記が不統一になっており、消費者にわかりにくくなっているのは、全体を統一するルールがないため勝手な表記になっていることによるもので、今後業界としても分かりやすい表記にするよう努力していく所存です。