ポジティブリスト制度に対する食用塩の適合について

食品衛生法第11条第3項の「食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度」(平成18年5月29日より施行)を受けて、塩ユーザーから日本塩工業会加盟会社が生産する食用塩の適合についての問い合わせが増加しております。
食塩は残留農薬の危険性が極めて低い商品ではありますが、ポジティブリスト制度は食品全体を対象として残留農薬の危険性を予防的に排除することを目的として、残留農薬の危険性が基準値以下であることを示す合理性のある立証を求めています。
日本塩工業会ではこの要請に応え、加盟各社が生産する膜濃縮―煎ごう法による製品が残留農薬に関して極めて安全であることを別紙「ポジティブリスト制度に対する食用塩の適合について」によりユーザーにご理解いただくことといたしました。
    

ポジティブリスト制度に対する食用塩の適合について

食品衛生法第11条第3項の「食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度」(平成18年5月29日より施行)に対する(社)日本塩工業会加盟会社が生産する食用塩の適合について説明します。
ポジティブリスト制度はすべての食品が対象となっており、食用塩は食品に該当しますので制度の対象となります。
(社)日本塩工業会加盟会社は海水を原料として膜濃縮せんごう法で国内の食用塩消費量の約90%を生産しています。
塩の生産工程で農薬は使用していませんが海水が農薬に汚染されたときに、海水から製造された塩に農薬が残留する懸念については、下記に述べる膜濃縮法の生産工程の原理と安全衛生管理システムの実施状況から農薬が塩に残留することはありません。
膜濃縮法の安全性と安全衛生管理システムについて説明します。

1)生産工程
海水は二段階で精密濾過されて水道水基準の10倍清澄な海水となります。次に膜濃縮工程で海水の塩分は3%から20%まで濃縮されます。 濃縮膜はプラスイオンとマイナスイオンを選択的に透過します。イオンの電荷を電気の力で引っ張ることによってイオンが膜を透過する原理なのでイオン化していない海洋汚染物質(農薬等)は透過しません。加えて、濃縮膜は百万分の1mmの孔径なので大きな分子である農薬等は透過しません。
これらのダブル効果で世界最高の安全性を確保しています。
次の加熱蒸発工程で塩が結晶として生成し、加熱により一般細菌は滅菌されます。

2)安全衛生管理システム
「食用塩の安全衛生ガイドライン」((社)日本塩工業会制定)を運用しています。食品衛生法の趣旨、原則に基づき、製造諸過程は清潔かつ衛生的に行うことを明確にし、HACCPと品質ISO9001の要素を織り込んだ「製塩プラント食用塩安全衛生基準適合チェックシート」を制定しています。毎年の工場査察と結果の審査会を経て「食用塩安全衛生基準認定工場登録証」を発行しています。日本塩工業会加盟会社の6工場は全て安全衛生基準認定工場登録証を授与されています。
原料海水については「人の健康保護に関する環境基準」(環境省)を満たしていることを確認しています。必要と判断した場合は食用塩の残留農薬分析を財団法人塩事業センター海水総合研究所で実施することとしています。
上記の生産工程の原理と安全衛生管理システムの運用実績とにより(社)日本塩工業会加盟会社が生産する食用塩は食品衛生法のポジティブリスト制に適合しています。

補足説明

1.ポジティブリスト制度とは
(1)残留農薬等のポジティブリスト制度とは?
基準が設定されていない農薬等が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する制度です。

(2)「一定量」とは?
人の健康を損なうおそれのない量として一定の量を定めて規制する考え方であり、一定量として0.01ppmが設定(一律基準と言う)されています。
「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量」であり、環境に由来するものなど、非意図的な汚染の可能性を考慮する必要があります。

一律基準設定の留意事項
・JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門会議)等にADI(許容一日摂取量)が0.03_/kg/day未満の農薬等基準を設けない農産物等があるものについては、個別に分析法を定め、「不検出」として管理します。
・地方公共団体等による監視指導に際して用いられる分析法の定量限界により、一律基準(0.01ppm)まで分析が困難と考えられるものについては、各分析法の定量限界に相当すると考えられる値をもって実質的に一律基準(0.01ppm) に取って代わる基準を定めます。
食品の成分に係る規格(残留農薬基準)が定められている食品は暫定基準で規制され、食品の成分に係わる規格(残留農薬基準)が定められていない食品(食用塩はこれに該当します)は一律基準で規制されます。

(3)規制の対象は?
1)規制対象物質は農薬と動物用医薬と飼料添加物です。
2)規制対象食品は加工食品を含む全ての食品です。

(4)規制の対象にならないものは?
オレイン酸塩(殺虫剤)、大豆レシチン(殺虫剤)など食品添加物として指定されているものや、重曹などの特定農薬です。
ポジティブリスト制度は全ての食品を対象としているので、食用塩は食品に該当しますので制度の対象となります。

2.厚生労働省の食用塩に対する見解
1)食塩は食品に該当するので対象となります。
2)個別のサンプルの分析値より衛生管理システム検証の検査が重要です。従ってこの様な環境条件、システムでやっているとの説明が大事です。
3)分析の義務はありません。

3.社団法人日本塩工業会加盟会社の生産所在地
加盟会社は(株)日本海水小名浜工場(福島県いわき市)、(株)日本海水赤穂工場(兵庫県赤穂市)、(株)日本海水讃岐工場(香川県坂出市)、ナイカイ塩業(株)本社工場(岡山県玉野市)、鳴門塩業(株)本社工場(徳島県鳴門市)、ダイヤソルト(株)崎戸工場(長崎県西海市)の4社6工場です。
海水は工場近辺海域から取水しています。